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痔核(いぼ痔)ご説明

(1)血栓性外痔核

歯状線(直腸と肛門のつなぎ目)より外側(肛門側)の外痔静脈叢にできた血栓(血豆)です。

1. 原因

下痢、便秘、暴飲暴食などの不摂生、過労、ストレス、力仕事、かぜなどが原因となります。

2. 症状

比較的突然に、肛門の外縁に半球状の腫瘤(こぶ)として認められるようになり、強い痛みを伴います。

3. 治療法と治療期間

通常は3~4日間、消炎鎮痛剤を服用したり、坐薬を使用することによって、痛みや腫れは軽快し、その後、3~4週間で血栓(血豆)は吸収されます。
しかしながら、痛みが激しい場合や、肛門の異物感が強くて、日常生活や仕事等に支障をきたす場合には、外来にて手術を行うことがあります。
手術の際の麻酔は局所麻酔のみで行いますが、手術中、痛みを感じることはほとんどありません。

手術方法は血栓(血豆)を含めて痔核を切除する方法や、血栓(血豆)の部位に小さな皮膚切開を加えて、血豆のみを取り除く方法が行われます。
外来手術後は2~3日、外来に通院していただくだけで良くなります。

(2)内痔核

歯状線(直腸と肛門のつなぎ目)より内側(直腸側)にできる、粘膜下の内痔静脈叢が腫れた一種の静脈瘤です。
また、肛門を時計にみたてて、お腹側が12時(0時)、背中側が6時とすると、痔核の原因の一つと考えられる上直腸動脈が流れ込んでくるのは3時、7時、11時方向のため、内痔核ができるのはこの3方向が多くなっています。

1. 原因

内痔核の原因は多岐にわたりますが、トイレの時間が長かったり、便秘で排便時にいきむことが多い人、タクシーやバスの運転手さんのように1日の仕事時間の大半を座ったまま過ごすことが多い人は肛門周辺の静脈叢の血液の流れが悪くなり、血液も停滞し内痔核ができやすくなります。
また、妊娠後期の左右の腸骨動脈による圧迫や分娩時の強い‘いきみ’などが原因でも形成されます。

2. 症状

出血、脱出、腫れ、痛みなどのいろいろな症状が進行程度に応じてあらわれます。

3. 治療法と治療期間

進行度1度

この段階では痛みはほとんどな無く、肛門に違和感やむずがゆさを感じることがある程度です。
また、排便時にたびたび出血することはありますが、しばらくすると止まりますし、肛門部を手で触れても内痔核の脱出は認めない状態です。

進行度2度

内痔核は鬱血(うっ血)しやすくなり、大きくなってきてます。
そして、排便時に‘いきむ’と内痔核が肛門の外へ脱出するようになりますが、この段階ではまだ、排便が終わると自然に肛門の中に内痔核は戻る状態です。

進行度3度

内痔核はかなり大きくなり、排便時にだけでなく、くしゃみをしたり、重いものを持ったりするだけで肛門の外へ内痔核が脱出するようになり、指で戻さなければ肛門の中に内痔核は戻らないようになります。
この段階になると、脱出した内痔核の場合は腫れて痛みも感じるようになります。

進行度4度

いわゆる‘脱肛’という状態で、排便に関係無く、内痔核が常に脱出している状態で、指で押し込んでも戻らない状態です。
肛門にも常に不快感があり、腸内からの分泌物が流れ出し、下着も汚れやすくなります。

陥頓痔核

3度、4度の進行度において、脱出した内痔核が肛門括約筋に締めつけられて、急激に鬱血(うっ血)して、腫れ、激しい痛みを伴い、元に戻らなくなった状態です。

4. 進行度別の治療法

(現在、当院では下記の肛門疾患に対する手術、硬化療法、輪ゴム結紮療法は行っていません。これらの治療を希望される患者様には専門医療機関を紹介させて頂いております。)

当院では原則として、進行度1度及び2度の場合には生活療法や薬(坐薬)、外来における注射療法(硬化療法)や輪ゴム結紮療法を選択し、手術は行いません。
そして、進行度3度及び4度の段階になって、初めて手術の適応があることを患者さんにも説明いたします。
しかしながら、実際に手術が行われるのは、生活療法や坐薬、軟膏などの薬物療法を行っても症状が改善せず、日常生活にも支障が出てきた患者さんで、ご自身で手術を希望される方が大半です。

いずれにしても、当院では医学的な理由や必要性だけで一方的に治療法を決めずに、あくまで、患者さんのご希望や日常生活における支障度(ずっと薬を続けなければならない人、内痔核があるためにいつも食事、飲酒、仕事、スポーツ、旅行などの日常生活に制限をしなければならない人等)を重視して、各進行度における治療法の選択を行い、患者さんにお勧めするよう心がけております。

次に、実際の進行度別の治療法について少し詳しく説明をいたします。

進行度1度

原則として、生活療法や軟膏・坐薬などの保存的治療を行います。
しかし、排便時の出血がしばしば起こり、日常生活で支障を感じることが多い患者さんの場合には、入院せずに外来で簡単に行える注射による内痔核の“硬化療法”硬化療法を行うこともあります。
硬化療法とは、パオスクレーというアーモンド油に極めて濃度の薄いフェノールを溶かした注射液を2~5ccほど内痔核に注入する治療で、注射液を注入することによって、内痔核の中の血管の周りを固めて、出血しやすい血管をつぶしてしまう治療です。

治療時間は約10分間程ですし、注射をするといっても、内痔核のできる歯状線より口側の直腸粘膜は人間が痛みを感じる神経が無いところですから、注射中に患者さんが痛みを感じることはありません。

ただし、この治療の効果は永久的なものではありませんので、硬化療法後の生活療法をきちんと行わないと、6ヶ月から2年程で再発をしてくることがあります。
いずれにしても、軟膏や坐薬ではあまり良くならない、かといって手術するほどでもない程度の内痔核の治療としては有効な治療法の一つと思われます。

進行度2度

1度の場合と同様に、原則として、生活療法や軟膏・坐薬などの保存的治療を行います。
また、進行度1度の項で説明した硬化療法も有効な治療法の一つです。
さらに、進行度2度の場合には“輪ゴム結紮療法”という簡便で有効な治療法も行っております。
この治療も、入院せずに外来で約10分間ほどで行うことができますし、治療中に痛みを感じることもありません。

治療法は小さな輪ゴムを肛門外に脱出する内痔核に特殊な器械(下の写真)特殊な器械 でかけて、内痔核を自然に壊死脱落させてしまうものです。
およそ、6~10日間位で内痔核は脱落しますが、その間、患者さんが痛みや不快感を感じることはほとんどありません。

進行度3度、4度、陥頓痔核

この段階になると、残念ながら、根本的には手術を行わなければ良くなることはありません。

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