裂肛(きれ痔)のご説明
(1)原因
一番の原因は、便秘の際に硬い便で肛門上皮が裂けることであり、一種の肛門の“けが”のようなものです。
また、慢性の下痢による肛門上皮の炎症も一因となります。
一般に便秘になりやすい女性、特に10~30歳代の若い女性に最も多く認められる、肛門の病気です。
(2)症状
排便時の出血やピリピリした痛み、排便後しばらく持続するジンジンした痛みが主な症状です。
(3)種類
急性裂肛と慢性潰瘍性裂肛の2種類に分けられます。
急性裂肛
便秘が続き、固い便で肛門上皮が裂けることなどによってできた比較的浅い、縦型の潰瘍で、裂肛の中でも初期の状態です。
慢性潰瘍性裂肛
急性裂肛の治療が不十分な場合、症状はしだいに進行して、炎症が肛門括約筋にまで達するようになり、肛門括約筋の痙攣も強くなり、この頃になると、初めは肛門上皮の浅い裂け目にすぎなかった裂肛も、治りにくい深い慢性の潰瘍のような状態になってしまい、やがては肛門の狭窄(肛門が硬く、狭くなる状態)が起こり、症状も増悪します。
(4)治療法と治療期間
急性裂肛
手術の必要はありません。
坐薬や軟膏による治療や便通管理などの生活療法によって、通常は7日間位で治癒します。
慢性潰瘍性裂肛
裂肛の原因として、肛門括約筋の痙攣が強く関係している場合や、慢性裂肛の場合でも肛門の狭窄までは認めない段階では、手術は治療の適応となります。