肛門外科
痔疾患は “がん”などの悪性の病気とはちがって、患者さんが日常生活に支障を感じていないならば、あわてて直ぐに 手術を受ける必要がある病気ではありません。
一般に10人の患者さんがいれば、そのうち7~8人の患者さんは生活 療法や薬(坐薬)、外来における注射療法(硬化療法)や輪ゴム結紮療法、簡単な切開などで治ります。
従って本当に手術 が必要な患者さんは残りの1~2人位といわれています。
当院肛門外科(肛門科)では診察の結果を患者さんに充分に説明し、患者さんのご希望を最優先と考え、患者さんのお仕事やご 家庭の都合に合わせて、最も適切な治療を行うように努めています。
診断・治療には日本大腸肛門病学会の認定施設で修練をうけた大腸肛門病学会指導医・専門医があたります。
診察は、原則として毎日行っております。
また、電話やFAXによる予約診察も行っております。
診察・治療はすべて各種保険診察内で行っております。
痔でお困りの方、原因や症状を下記より↓ご説明しております。
痔でお悩みの方へ【ご説明ページはこちら】
内痔核の切らない日帰り手術対応ジオン注射(痔核硬化療法)とは
ジオン注射は、内痔核の治療法の一つで、特に「脱出を伴う内痔核」に対して効果的です。この治療法は、痔核に流れ込む血液の量を減少させ止血し、炎症による線維化で痔核を硬化させて粘膜に癒着させることで、痔核を退縮させます。切除手術とは異なり、痛みの少ない部分に注射を行うため、出血や傷口の痛みが少なく、侵襲が少ないのが特徴です。
ジオン注射の有効成分は硫酸アルミニウムカリウム水和物とタンニン酸で、これらが出血症状や脱出症状を改善します。
ジオン注射の投与方法
- 麻酔: ジオン注射の前に、肛門周囲に麻酔を行います。これにより、治療中の痛みを軽減します。
- 四段階注射法: ジオン注射は、1つの痔核に対して4か所に分けて投与します。この方法は、薬液を痔核に十分に浸透させるためであり、複数の痔核がある場合は、それぞれに同じ方法で注射します。
ジオン注射の主な作用
- 血液供給の減少: 注射によって痔核に流れ込む血液の量が減少し、痔核が縮小します。
- 硬化作用: 注射された薬剤が痔核を硬くし、組織を収縮させることで痔核のサイズを縮小します。
- 癒着作用: 痔核を周囲の組織に癒着させることで、痔核が固定され、脱出しにくくなります。癒着は1週間から1ヵ月ほどかけて進行します。
ジオン注射のメリットとデメリット
メリット:
- 手術に比べて侵襲が少なく、回復が早い。
- 入院の必要がなく、通院で治療が可能。
デメリット:
- 一部の患者では再発の可能性がある。
- 重度の痔核には適さない場合がある。
術後のケア
- 排便: 当日から可能です。
- 入浴:当日からシャワーが可能です。手術翌日、診察を受けてから医師の許可がでたら入浴が可能となります。
- 仕事復帰: 翌日から可能です。できるだけ安静にし、『力仕事』『冷え』『長時間の同じ姿勢』は避けるようにしましょう。重いものを持つなどおしりに力が入ることは2週間程度避けてください。
- 食事::アルコール医師の許可が出るまでお控えください。わさび、胡椒、とうがらしやコーヒーなどの刺激物、油っこい食事はしばらく控えるようにしましょう。
治療の経過とフォローアップ
- 治療後、1週間から1ヵ月で効果が現れます。定期的なフォローアップが必要です。
- 症状が改善しない場合や再発した場合は、追加の治療が必要になることがあります。
副作用
- 一時的な肛門部の違和感や肛門粘膜が固くなる。
- 重篤な副作用はまれですが、血圧低下、下腹部痛、嘔気(気持ち悪い、胃のあたりがムカムカする)、出血、発熱症状が現れた場合は速やかに医師に相談してください。